アーレント・オルガン

organ


The Bach Grove Memorial Music Hall
Jurgen Ahrend Orgelbauwerkstatt [Leer-Loga], 1989
II/19


Manual I: Hauptwerk C-f'''
1. Prinzipal 8'
2. Hohlfloete 8'
3. Oktave 4'
4. Nazart 3'
5. Oktave 2'
6. Cornet III
7. Mixture IV
8. Trompete 8'

Manual II: Rueckpositiv C-f'''
9. Gedackt 8'
10. Prinzipal 4'
11. Gedacktfloete 4'
12. Oktave 2'
13. Blockfloete 2'
14. Sesquialtera II
15. Dulzian 8'

Pedal C-f'
16. Subbass 16'
17. Oktave 8'
18. Oktave 4'
19. Trompete 8'

Pedalkoppel I/P
Tremulant

A=440HZ Werckmeister II
Winddruck 55mm/WS


アーレントオルガンの意義
パイプオルガンとその音楽は、主にキリスト教会の礼拝を助けるものとして、16世紀以降、時代と地域により様々な変化をとげつつ発達しました。交通と通信が現在ほど発達していない時代に、オルガン製作は他の多くの職工技術と同様「一族の職業」として営まれ、相伝の技術を伝承していきました。オルガン自体も、それぞれの国や地域ごとの礼拝形式や音色に対する「趣味」の違いに基づき、特色ある様式をとるようになりました。ヨハン・セバスチャン・バッハが活躍した18世紀前半のいわゆる「バロック音楽」の時代は、まさにそういう時代です。19世紀以降、オルガンという楽器がキリスト教会や王侯権力からはなれ、オルガン製作が近代工業化されていくと、このような伝統的技術は徐々に失われていきました。また19世紀以降のオルガン音楽も、オーケストラを理想とする多彩な音色の表現力を楽器に要求するようになりました。
このような歴史を踏まえ、20世紀初頭以降のオルガン製作は、「ドイツ・バロック」的な音色を基本に、19世紀の楽曲にもふさわしい音色と演奏機能を備えた折衷的な様式が主流となりました。これは、演奏楽曲を限定できないコンサートホールなどに設置される場合には確かに最良の選択でした。オルガンは「工業製品」としての性格を併せもつようになり、演奏を効果的にするために様々な近代的改良が加えられました。

J.アーレント(Juergen Ahrend 1930- )は、1954年に初めて自身の工房を構えて以降、主にデンマークおよび北ドイツ各地に残る17-18世紀の楽器の修理を手がけてきました。彼は、伝統的な技術によって製作された「歴史的楽器」の修理を通じて、かつて見捨てられた古い製作技術が実は当時の音楽作品の演奏にとって最もふさわしい楽器を生み出す、と確信するようになりました。アーレントはこれらの古い製作技術を新しい楽器製作にも積極的に取り入れることにより、従来の折衷的様式の楽器製作に代わる、いわゆる「歴史的製作法」の復興を果たし、20世紀のオルガン製作のながれを大きく転換することになりまた。今日では、「歴史的製作法」は小型・中型オルガン製作の主流となっています。
アーレントはドイツ・オーストリアの数々の「国宝級」オルガンの修復を手がける一方、ドイツのみならずオランダ、アメリカ、オーストリア、フランス、英国、スイス、イタリアなど世界各地にオルガンを納入しています。彼の楽器を使ったCD録音も多数発売されています。ドイツ・ミュンヘンのドイツ博物館は、館内に設置するオルガンの製作者を選定するに当たり、アーレントを「現代最高のオルガン製作者の一人」と論評しています。

日本国内には現在3台のアーレント・オルガンが存在しています。バッハの森のオルガンはその2番目のもので、バッハの時代の中部ドイツのオルガン様式に忠実に製作されました。やや小規模ながらバッハ演奏に最も適した楽器です。巨匠アーレントの最充実期の作品として、その文化的な価値ははかり知れません。(文責:管理人)